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by fightback2008
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「訴状を閲覧するとき制限をしてください」は却下されました

         こ れ は 謄 本 で あ る。

平成17年1月12日

  大阪地方裁判所第5民事部

   裁判所書記官  新 谷 喜美子

平成16年(モ)第9794号閲覧等制限申立事件
(本案・平成16年(ワ)第14236号損害賠償請求事件)

            決     定

 申 立 人   (原 告)    三   井   マ リ 子
 同 申 立 代 理 人 弁 護 士   寺   沢   勝   子
 同                 川   西   渥   子
 同                 大   野   町   子
 同                 石   田   法   子
 同                 宮   地   光   子
 同                 島   尾   恵   理
 同                 乗   井   弥   生


          主     文

1 本件申立てを却下する。
2 申立費用は申立人の負担とする。

   
             理     由

第1  申立て
 
平成16年(ワ)第14236号損害賠償請求事件の訴訟記録中、原告の住所が記載されている部分について、閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求をすることができる者を当事者に限る。

第2 当裁判所の判断
  
1 申立人は、本件の本案事件において、財団法人とよなか男女共同参画推進財団が、とよなか男女共同参画推進センターすてっぷの非常勤館長であった申立人を常勤館長として採用することを拒否したことは、豊中市との共同不法行為にあたるとして、同財団及び同市を被告として、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料及び弁護士費用)の支払を求めている。

2 申立人は、本件申立てにおいて、本案事件の訴訟記録中の原告の住所が記載されている部分(以下「本件部分」という。)を第三者が閲覧等をすることにより、女性の地位向上に反対する人々が原告の住所を知り、原告の自宅に押しかけて嫌がらせをするおそれがあるから、本件部分は、原告の私生活についての重大な秘密に当たり、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、原告が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある旨主張している。

3 民事訴訟法92条1項1号は、憲法82条の裁判公開の原則を受けて民事訴訟法91条1項が訴訟記録公開の原則を規定していることにかんがみ、その例外として、訴訟記録の当該部分に、当事者の私生活についての「重大な秘密」が記載又は記録されており、かつ、第三者が前記秘密が記載又は記録された部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある場合に限って、裁判所が当該部分の閲覧等を制限できるものとしている。したがって、これにより保護されるべき秘密は、その趣旨に照らし、厳格に解すべきである。

4 当事者の住所は、当事者のプライバシーに該当する情報ではあるが、それが直ちに一般的に前記の「重大な秘密」に該当するとはいい難いし、仮にそれが「重大な秘密」に該当する場合があり得るとしても、本件においては、第三者が本件部分の閲覧等を行うことにより、申立人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあると認めるべき客観的事情の疎明もないというべきである。

なお、申立人作成の陳述書には、申立人が館長職から排除された後も豊中市役所に申立人の所在を尋ねる電話がかかってきたとの記載があるが、仮にそれが事実であるとしても、それをもって直ちに、本件部分の閲覧等を制限しなければ、申立人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあるとはいえない。

5 よって、本件申立ては、理由がないから却下することとする。


平成17年1月12日

   大阪地方裁判所第 5 民事部

    裁 判 長 裁 判 官   小  佐  田       潔
          裁 判 官     中  垣  内   健   治
          裁 判 官     朝     倉   亮   子

 


 
by fightback2008 | 2005-01-28 14:26 | 裁判情報