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館長雇止め・バックラッシュ裁判の情報をお伝えします


by fightback2008
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中島通子さんをしのぶ会にて

昨夏、中島通子弁護士がお亡くなりになりました。2008年1月18日、東京都庭園美術館で、しのぶ会が開かれました。各界からさまざまな方々が、中島さんの思い出を話されました。以下は、中島弁護士に代理人をお願いしともに労働裁判をたたかった野崎光江さんのメッセージです。中島さんは、当裁判の代理人でもありました。心からご冥福をお祈りいたします。

===
「昭和シエル石油事件。平成15年1月29日東京地裁。
職能資格制度における賃金の男女差別を認めた判決。格付けと賃金に著しい男女格差があると認定し、それは職能資格等級の昇格管理を男女別に実施した結果であるとして、労基法4条違反による不法行為に該当すると判示した。損害額の算定にあたり、差別がなかったら原告のあるべき職能資格等級、原告のあるべき定昇評価を認定し、月例賃金、賞与、退職金、既払分の年金および将来分の年金を含め、賃金差別訴訟で過去最高額の損害賠償を認容。」

これは、東京都産業労働局雇用就業部労働環境課が毎年出版している「働く女性と労働法」の2007年版です。「執筆は、女性労働に詳しい弁護士の中島通子先生にお願いしました。働く女性はもとより男性や労働組合、事業主の皆様にもご活用いただければ幸いです」と、まえがきされています。

実は東京都がこの本の執筆を次は誰に依頼するのか私たちの中で小さな話題になっているのです。中島通子さんの流れを壊さないで欲しいのです。絶版になるとしたら大いなる後退です。

会社は控訴し、平成19年6月28日高裁判決は、同一学歴者のランク、同一年齢者における定期昇給額、同一年齢者における本給額のいずれにおいても、男女間に著しい格差があったことは認め、一審では棄却された慰謝料は復活しましたが、会社側の主張である消滅時効、時代制約論を認めましたので、損害賠償額は地裁の半分ほどになりました。

「悔しいねえ・・・・」。これは、私の職業生活の半分の20年ばかり、かかわっていた仕事を女性職・特殊職という会社の見解を取り入れた判決文を見ての通子さんの言葉です。もともとあった会社の男女差別的思考がいかされてしまったのです。14年に及ぶ裁判は何だったのかと思いました。

最高裁に上告することになりました。その話し合いが行われました。4人の弁護士と私と柚木さん、最後に通子さんがいいました。野崎さん、長生きしなくっちゃね。こんなとき、何と答えたらいいでしょうか。ウン、と言ってから、私はアハハ・・・と笑いました。それが通子さんと交わした最後の言葉でした。

中島通子さんをしのぶ会にて_b0159322_17233884.jpg生かさなければ、と思います。通子さんのあの情熱を。つなげなければとあらためて思っています。通子さんと歩んだあの月日を私の明日に。そして私達の未来に。

野崎 光枝(昭和シエル石油事件原告)

【写真は中島通子さんの遺影を横にマイクを握る野崎さん】
by fightback2008 | 2008-01-22 00:20