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館長雇止め・バックラッシュ裁判の情報をお伝えします


by fightback2008
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6月5日報告 9:使用者には雇用を継続する法的義務がある

裁判後の交流会に出席しました。ファイトバックの会の皆さんの あたたかい交流会演出に三井さんもそうだと思いますが、心癒される思いでした。会場からの良い質問で、地裁と高裁の裁判の違いなどがわかりました。

脇田さんの意見書は大変興味深く、専門家でも学者でもないので、正確かどうかわかりませんが、自分なりにまとめましたので、報告します。

以下報告

今回の目玉は龍谷大学の脇田滋さんの意見書。ご本人が解説してくれた。このなかで私が特に興味深く思ったのは、三井さんの問題について、女性の問題に取り組む人たちの中にも、館長と言う立場の三井さんの問題と一般の嘱託や非常勤の女性たちの問題を一緒に考えるのは無理・・というような空気が一部に感じられることへの痛烈な事実の提示だった。マクドナルドや紳士服のアオキの名ばかり管理職の問題同様、館長として充実した講座やイベントなどは十分やってはいたが、三井さんは人事権を持たず、組織改正のような組織の変更にも関与する権限を持っていなかった。

何より1年契約を繰り返す有期雇用で非常勤の働き方だった。年収も正規雇用の職員の半分程度で福利厚生手当ても無く、三井さんも管理職には程遠い労働者だったことを再認識させられた。

さらに、一般の受け止め方の中には1年契約を結んでいたのだから仕方ないんじゃないの?という考え方がある。一番良いのは有期契約自体が理由の明確なものを除き違法というような法律があれば良いのだが、それが無い中で各地の裁判の裁判の判例に使用者の解雇権を権利濫用法理によって制限する判例が出てきている。

脇田さんによれば、それを立法化したのが労働基準法第18条、これは先ごろ成立した 労働契約法第16条に引き継がれているのだが、労働者を受け入れた使用者にはその雇用を継続する法的義務があり、労働契約を自由に一方的に終了させることができない、とされている。

各地で泣き寝入りしないで訴えた人たちの判例の積み重ねによって、有期雇用は仕事自体がその期間を過ぎた場合になくなってしまう、あるいは試用期間などという明確な理由がない限り実質的には継続雇用とみなす判例が積み重ねられているのだ。

まして三井さんのようにその有期契約を何回も更新し続けていた場合にはよほどの理由が無い限り継続雇用とみなすべきである、ということだ。

ワーキングプア、高学歴ワーキングプア、(最近では歯科医ワーキングプアなどという 言葉も耳にするが、)不安定な雇用という雇い方の問題であるということで、まさに共通の問題を三井さんの雇い止め事件は示しているのである。

6月5日報告 9:使用者には雇用を継続する法的義務がある_b0159322_13444213.jpgさて、交流会の第2部はサックスミュージシャンのMASAジャズライブ。そこに私も1曲ヴォーカルで参加。このリハーサルをやる必要から、裁判傍聴はできなかったわけだ。でも裁判自体は書面の確認だったようなので問題なし。地元で裁判を支えるファイトバックの会のメンバーは美しいチラシを作ったり、裁判直前に示された4種の書面の印刷など当日の朝まで大変だったようだ。
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それでも1ヶ月早い七夕の笹や短冊を用意し交流会会場を華やかに飾るなど、裁判を楽しく4年間も支え続ける底力を感じさせてもらった。

MASAのサックスは迫力満点、その肺活量をもって山が動くという朗読と演奏のコラボは素晴らしかった。時々東京にも来るし、各地でぜひ呼んで欲しいものだ。

岩橋 百合(千葉)

写真上:サマータイムを歌う岩橋百合さん(プロも真っ青のシンガー)
写真中:七夕飾りの下の三井マリ子さん(右)木村民子副代表(左)
写真下:与謝野晶子「山の動く日きたる」を朗読するMASAさん
by fightback2008 | 2008-06-07 15:37 | 裁判情報