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館長雇止め・バックラッシュ裁判の情報をお伝えします


by fightback2008
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結審を終えて 24: “チャングム”日本版

結審と弁護士解説付き交流会に参加して
               
去る6月6日、大阪地方裁判所に初めて行った。傍聴者の多いことにまず驚き、意を強くしたが、残念ながら抽選にもれ、がっかり。でも、見ず知らずの仲間の一人が傍聴券を譲ってくださり、ありがたいことに法廷の中に入ることができた。結審は裁判長が双方の書類確認のあと、ただ一言、判決の日時を9月12日午後1時10分と告げたのみであっけなく終了。

私の意気込みはカラぶりに終わるかと思いきや、その後の弁護士解説付き交流会がすごかった。弁護団の方々と私は初対面だったが、“浪花女”のパワーとユーモアあふれる解説に親しみを感じ、また深い感銘を受けた。

三井さんは、その『陳述書』で、被告らが準備書面で記載していることに対して、「嘘です」「言っていない」と繰り返し主張していた。あたかも“チャングム”のように窮地に追い込まれていく過程が克明に記されており、痛々しいほどだった。

このたびの結審で提出された『最終準備書面』は、三井さんの言動が、捻じ曲げられ、虚偽で塗り固められていった過程を、被告豊中市と財団の画策をひとつひとつ暴きながら、違法性を突き、綿密かつ周到な主張で展開している。

たとえば2004年度の予算要求説明書の日程から指摘された矛盾点や原告排除のための手続きの異常性(ファイトバックの会編集・印刷版『最終準備書面』86p)を、議員として行政の予算要求にかかわった経験のある私は、うなずきながら読んだ。また常勤館長採用選考が財団職員採用要綱に違反しているなどの記述も的確で、被告の矛盾した論理を炙り出している。被告側からの公的文書を元に論証していくのだから、被告は反論のしようがないだろう。

男女共同参画推進条例案を上程し、可決に至るまでの、市との議員たちとの密約も反証できない確実な資料で論破している。密約とはすなわち「条例案賛成・成立の見返りに原告の首を切ること」であった。半年前に制定する予定だった条例の上程が与党会派の反対などで阻止された市は、市の面目にかけてもこれ以上条例可決が延期されないよう、原告の首を差し出したというわけだ。たとえ、バックラッシュ勢力が反対する条例でも原告を排除することにより、条例は換骨奪胎できるというバックラッシュ側のねらいを、最終準備書面は明確に示している。

また、三井さんが館長講演で専業主婦への差別的発言を言った、などという事実無根の噂が流されていたが、誰でも、三井さんを追い落とすための卑劣なデマにすぎないとすぐピンとくるはずだ。にもかかわらず、それらのバックラッシュ勢力の攻撃に被告が屈したのは、むしろ原告排除にいい口実ができたことを豊中市幹部は歓迎したからではないか。

恫喝する議員に対し、行政職員は戦々恐々となる。それは往々にして、議員の中には自分の優位性を保つために、議会で職員を非難し恥をかかせるような質問を行う議員がいるからだ。北川悟司議員の場合、市長第2与党の重鎮であったことや、国の「ジェンダー・フリー」用語排除と同調していただけに、幹部職員は逆らえないという側面があったのだろう。また、国旗国歌の徹底などでかねてから市教育委員会に顔をきかせていたという事実も、最終準備書面に明記されていることからも、市幹部と”親密”な間柄だったのだろう。しかし、だからといって事務局長(豊中市からの派遣)がその上司である館長の三井さんに背信していいという理由はどこにもない。

以前、『陳述書』を読んで気になっていたのは、すてっぷのオープニング式典に三井館長席が無かったという屈辱的な出来事だ。館長を公募したものの、当初から三井さんが館長に選ばれたことを快く思わない人が被告市の幹部職員にいたのではないか。そこで、バックラッシュ攻撃の標的にされる中で三井さん排除の指令がトップから降りた際、三井さんの雇止めに対してアノ手コノ手で画策に励んだのではないか。そう考えると、ジグソーパズルのように最終段階でピタッと嵌まるではないか。

さて、その後、すてっぷは三井さんの後任の桂館長も辞任し、今なお館長不在という。すてっぷが弱体化したという声も聞いた。たとえ財団が指定管理者になったとしても、平成18年に市と財団で交わされたすてっぷの管理運営に関する基本協定書の第2条には、「乙(財団)は、センターの設置目的が社会のあらゆる分野への男女の均等な参画及び男女の人権の確立を図り、男女が社会の台頭な構成員としてその責任を分かち合い、共に築く男女共同参画社会の実現をめざすことであることを十分理解し、その趣旨を尊重して業務の実施に当たるものとする。」とある。

この趣旨に沿ったすてっぷの運営が現状で十分なされていないことを、(北川悟司氏が落選した今)、豊中市議会は問題にして欲しい。豊中市民から抗議の声を上げて欲しい。それがこの館長雇い止め・バックラッシュ裁判を支援する一翼を担うことになるはずだ。三井裁判の意義を市民運動にまで拡げ、大きなうねりを起こせば、裁判勝利は間違いなしと、私は信じている。

木村 民子(ファイトバックの会副代表)
by fightback2008 | 2007-06-18 14:26 | 裁判情報